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消費税対策にも有効なキャッシュレス決済の活用①【全10回シリーズ】

 

 

【第1回】キャッシュレス決済に関わる政府施策〔その1〕

 キャッシュレス推進協議会は、経済産業省から2018年4月に公表された提言『キャッシュレス・ビジョン』を受けて同年7月2日に設立された団体で、多くの決済事業者が各種サービスを提供している中、中立的な立場からわが国におけるキャッシュレス社会の早期実現に向けた取り組みを、産官学連携で推進しています。本連載では、世界的に急速に浸透しつつある「キャッシュレス」について、国内外の状況やキャッシュレス普及促進に向けた取り組みなどについて紹介していきます。

<生産性向上や効率化に寄与>

 現在、わが国のキャッシュレス決済比率は19.8%(2016年)にとどまっていて、主要国と比較すると圧倒的に低い水準にあります。少子高齢化により、労働力人口の著しい低下が課題のわが国において、キャッシュレス決済の普及促進は、生産性向上や社会の効率化に欠かせない要素と考えられます。

 こうした中、政府もキャッシュレス決済の普及に向けて積極的に取り組みを始めました。2025年までにキャッシュレス決済比率を倍増(20%→40%)させる目標を設定し、将来的には世界最高水準の80%を目指す「支払い方改革宣言」が出されました。

<中小小売店等にも消費者にもメリット>

 さらに、本年10月1日の消費税率引き上げに伴う需要平準化対策として、経済産業省は2019年度の当初予算案で2,798億円を計上しました。税率引き上げ後の9ヵ月間、中小企業・小規模事業者(中小小売店等)に対しては決済手数料やキャッシュレス決済手段(決済端末等)導入コストの補助、キャッシュレスで支払った消費者に対しては最大5%のポイント還元や割引を補助する、「キャッシュレス・消費者還元事業」を実施予定です。

 本事業は、消費税率引き上げ後の中小小売店等における需要喚起策を支援すると同時に、中小小売店等と消費者の双方にメリットのあるキャッシュレス決済の普及・活用を目指すものであり、政府が目標とするわが国のキャッシュレス決済比率の引き上げにも大いに貢献し得るものと考えています。具体的には、中小小売店等においてキャッシュレスで決済した消費者にポイントを付与したり割引したりするための経費の一部を国がキャッシュレス決済事業者に補助するもので、3月1日時点で公表されている情報では、下図の支援が予定されています。

 

<ポイント還元制度活用の準備を>

 本事業により、中小小売店等でキャッシュレス決済の普及を阻んできた「3つの壁」(決済手数料、導入コスト、入金サイクル)のうち、決済手数料と導入コストの2つが緩和される方向です。第1の壁である決済手数料については、本事業実施期間中は3.25%以下に設定されたうえで、さらにその3分の1が国から補助されます。このため、例えば手数料率が3.25%の場合は2.16%程度の負担で済むことになります。第2の壁である決済端末等については、中小小売店等は自己負担なく導入できるようになります。

 こうした補助・支援を中小小売店等が受けるには、本年4月1日以降、本事業へ参加するキャッシュレス決済事業者経由で加盟店登録・申請する必要があります。決済事業者は、3月から順次参加を表明し、4月に特設ウェブサイト(https://cashless.go.jp/)上で公表される予定です。中小小売店等は特設ウェブサイトに掲載される提供サービスの詳細情報を確認のうえ、決済事業者へコンタクトするなど積極的にアプローチいただくことをおススメいたします。

<まずは使ってみよう!>

 キャッシュレス決済は、導入する中小小売店等側も、利用する消費者側も、「まずは使ってみる」というはじめの一歩が大きなハードルとなっているようです。今回のポイント還元制度を上手に活用することで、こうしたハードルも乗り越えやすくなり、キャッシュレス決済のメリットを実際に体験することで普及につながっていくと大いに期待しています。

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